BRIEFING.376(2015.10.16)

ややこしい公図の「青地」と農振地域の「青地」

道路法、河川法等に基づいて管理されている道路や河川を「法定公共物」と言い、それらが適用されないもの、例えば里道や水路を「法定外公共物」と言う。

「法定外公共物」は、国が所有し都道府県知事が財産管理し、市町村が運用管理するという複雑なしくみとなっていたところ、地方分権一括法(平成11年7月公布)による国有財産特別措置法第5条第1項の改正により、国土交通省所管のものは市町村に譲与されることとなり、今では所有も管理も市町村ということになっている。

但しすでにその機能を喪失した里道や水路は「旧法定外公共物」と呼ばれ、市町村に譲与されず、財務省が管理を引き継いだ上で順次民間に払い下げられているところである。

さて、里道は赤道(あかみち)、赤線、赤地とも呼ばれる。水路は青道、青線、青地とも呼ばれる。これらは法務局に備え付けられていたコンピューター化以前の公図に着けられていた色に基づくものである。

里道・水路には地番がないが、これら以外に、地番もない、着色もないといった白地と呼ばれる土地もある。それが生まれた経緯は様々でありよく分かっていないものもあると考えられる。

さて、不動産登記の世界の用語である「青地」「白地」は、その隣接業界と言ってもよい農業の世界では、全く別の意味に使われている。

農業の健全な発展と国土資源の合理的な利用を目的とする農業振興地域の整備に関する法律は、農業振興地域整備基本方針に基づき「農業振興地域」を指定し、中でも農用地等として利用すべき土地の区域を「農用地区域」と定めている。

農振法の世界では、この農用地区域を青地、それ以外の農業振興地域を白地と呼んでいる。農用地利用計画図でそのように着色されていることが多いことからと言う。

しかし公図上の水路も農振法の農用地区域も青地であると、青地(農用地区域)の中の青地(水路)といったややこしい話になる。

そこでどちらかがこの通称を返上してはどうか。

思うに水路のような長狭物に「地」は違和感がある。「線」「道」の方が馴染む。また今の公図の水路に着色はないから「青」もおかしい。また水路は単純明快でこれ以外に通称も隠語も必要ない。

そうすると、ここは青地を農用地区域に譲り、水路は水路で一件落着としてはいかがか。


BRIEFING目次へ戻る