BRIEFING.389(2016.03.24)

今年の地価公示は「爆買い公示」

地価公示法に基づき、平成28年1月1日現在の標準地の価格が官報公示された。

それによると、全国平均の対前年比で、住宅地が▲0.2%(前年は▲0.4%)、商業地が+0.9%(前年は±0.0%)で、商業地で横ばいから上昇に転じたことが分かった。

三大都市圏で見てみると、住宅地は+0.5%(前年は+0.4%)、商業地は+2.9%(前年は+1.8%)となっている。住宅地では小幅な改善、商業地では上昇基調が強まっている。

地方圏では、住宅地で▲0.7%(前年は▲1.1%)、商業地で▲0.5%(前年は▲1.4%)とまだ下落が続いているものの、いずれも下落幅は縮小している。 但し地方圏の中でも、地方中枢都市(札幌・仙台・広島・福岡の各市)では商業地・住宅地のいずれでも三大都市圏を上回る上昇が見られる。

最高価格地点は銀座4丁目(山野楽器銀座本店)の4,010万円/㎡(+18.6%)で、過去最高となった。

変動率の上位3地点は、大阪市の心斎橋・道頓堀、名古屋市の椿町で、上昇率は45.1〜38.4%と高い。 これらの地域は、外国人観光客による「爆買い」の中心地である。それが店舗の売上を支え、店舗賃料を支え、地価を支えている。

そこで今年の地価公示を「爆買い公示」と名付ける。

なお、国土交通省は、昭和62年以降について、主な7都市(札幌市・仙台市・23特別区・名古屋市・大阪市・広島市・福岡市)における商業地の最高価格の推移を、 折れ線グラフにして公表している。それによると、バブルの頂点だった平成3年においては、7本の折れ線がばらけているように見えるのに、平成14年頃から、23特別区の 1本のみが上方へ乖離し、他の6本は1つの束になってしまっている。その後のプチバブル、リーマン・ショック、アベノミクスを経ても、その傾向はあまり変わっていない。

過去5年間の地価公示については次の通りである。右はその前年の主なできごと。 それ以前についてはBRIEFING.32919472をご参照いただきたい。

平成28(2016)年 爆買い公示・・・・・・タワマン節税。民泊。杭データ。
平成27(2015)年 インバウンド公示・・・アジアマネー。空家。r<g。
平成26(2014)年 緩和マネー公示・・・・物流不動産。国家戦略特区。
平成25(2013)年 アベノミクス公示・・・日本再生戦略。メガソーラー。
平成24(2012)年 西高東低公示・・・・・復興特区。除染。スマートハウス。
平成23(2011)年 なお書き付き公示・・・エコポイント。IFRS。新・成長戦略。 


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