BRIEFING.405(2016.09.01)
経済財政白書の副題と地価公示
リオ五輪の日本選手団入村式が行われた8月2日、日本では内閣府の経済財政政策担当の石原大臣が、閣議に平成28年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出している。
同白書は「アベノミクス」による所得環境改善にもかかわらず個人消費が弱いことが景気回復の足枷になっていることを指摘している。副題は「リスクを越えて好循環の確立へ」。「確立」でなく「確立へ」というところが現状のもどかしさを表しているように見える。
さて、当事務所では毎年発表される地価公示にニックネームを付け公表しているところである。過去の白書の副題をこれと比較してみると、その意気込みの背景がよく分かる。
経済財政白書(または経済白書)の副題 | 地価公示ニックネーム | |
H28(2016)リスクを越えて好循環の確立へ | 爆買い公示 | 41(6) |
H27(2015)四半世紀ぶりの生花と再生する日本経済 | インバウンド公示 | |
H26(2014)よみがえる日本経済、広がる可能性 | 緩和マネー公示 | |
H25(2013)経済の好循環の確立に向けて | アベノミクス公示 | |
H24(2012)日本経済の復興から発展的創造へ | 西高東低公示 | 38(11) |
H23(2011)日本経済の本質的な力を高める | なお書き付き公示 | |
H22(2010)需要創造による成長力の強化 | ショック公示 | |
H21(2009)危機の克服と持続的回復への展望 | 百年に1度の危機公示 | |
H20(2008)リスクに立ち向かう日本経済 | サブプライム公示 | 25(8) |
H19(2007)生産性向上に向けた挑戦 | デフレ脱却公示 | |
H18(2006)成長条件が復元し、新たな成長を目指す日本経済 | ファンド・バブル公示 | |
H17(2005)改革なくして成長なしX | 底入れ公示 | |
H16(2004)改革なくして成長なしW | 変化の兆し公示 | 37(5) |
H15(2003)改革なくして成長なしV | 都心回帰公示 | |
H14(2002)改革なくして成長なしU | 2003年問題公示 | |
H13(2001)改革なくして成長なしT | ビッグバン公示 | |
H12(2000新しい世の中が始まる | 流動化公示 | 18(15) |
H11(1999)経済再生への挑戦 | 失われた10年公示 | |
H10(1998)創造的発展への基礎固め | 資産デフレ公示 | |
H09(1997)改革へ本格起動する日本経済 | 倒産・失業公示 | |
H08(1996)改革が展望を切り開く | 不良債権公示 | 14(23) |
H07(1995)日本経済のダイナミズムの復活をめざして | 固都税7割公示 | |
H06(1994)厳しい調整を越えて新たなフロンティアへ | 相続破産公示 | |
H05(1993)バブルの教訓と新たな発展への課題 | 地価税公示 |
なお、H12年以前は「年次経済報告」(経済白書)と呼ばれ、経済企画庁が報告していたものである。
ところで表の右端の数字は何かお分かりだろうか。正解は日本の五輪メダル数(カッコ内は国別順位)である。これも日本経済の一側面と見ることができそうだ。