BRIEFING.406(2016.09.08)

宅地の「一体利用」と貸宅地の評価単位

土地所有者にはその価格に応じた固定資産税・都市計画税が毎年課税される。また、土地の相続人・受贈者には(他の相続・贈与財産と併せて)相続税・贈与税が課せられる。

そしてその評価の単位の原則は、固資・都計税においては1筆毎、相続・贈与税においては利用単位毎である。但し固資・都計税においても但書きによって相続・贈与税の場合と同様、利用単位毎に一体評価され、どちらの場合も運用の実態はほぼ同じである。

例えば、アパートの敷地(A)と隣接するその入居者専用の駐車場(P)は、仮に筆が違っていても「一体利用」とされ一体評価されることとなる。

その結果、Pについても小規模住宅用地と判断されて、固資・都計税の特例(1/6、1/3)が受けられる。しかし両者が公道で隔てられていたりすると、Pについては特例が受けられず、非住宅用地の課税を受けなければならない。

また、PがAのアパート居住者以外にも貸し出されている場合も、APは一体利用と考え難く、Pについてはこの特例が受けられない可能性がある。

このように一体利用で税金が安くなる場合もあるが、次のように逆に高くなる場合もある。

Aが角地で、それと一体利用されるPは角地でない場合である。この場合、両者を一体と見ると、APが角地となり、(前述の減税効果は別として)固資・都計税評価が若干上がることとなる。また、相続・贈与税評価も同様に上がることとなる。

では、Pが他人地で、Aの所有者に賃貸されて一体利用されている場合はどうだろう。Pの所有者は、固資・都計税について住宅用地の特例を受けられる一方、角地の評価を甘受せざるを得ないのだろうか。次のような考え方ができる。

一体評価主義・・外観が一体利用である以上、一体評価し面積按分すべき。
個別評価主義・・外観は一体利用でも、貸宅地所有者の感知するところではない。
地代水準主義・・一体利用前提の地代なら一体評価、そうでないなら個別評価すべき。

Pが無道路地の場合を想像してみると、結果の違いが鮮明になろう。また、論点を単純化すると、APの単価は均一か別々か、と言うことができる。

この点、固資・都計税は一体評価主義、相続・贈与税は個別評価主義をとる。

但し前者で、所有者の異なる土地の一体利用をどこまで把握できるかは疑問であり、課税担当者もそれを認めざるえないのが実態である。また、類似のケース(二方路地の店舗と駐車場)で「一体として取引の対象とするのが社会通念に照らして合理的であるとまでは認めることはできない」(高松高裁H23年12月)として個別評価を認めた判決もある。


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