BRIEFING.411(2016.10.28)

つながる鉄道と軌道

大阪府豊中市と吹田市にまたがる千里ニュータウンの中心は、北大阪急行の終点「千里中央」駅である。かねてから同急行線の延伸が期待されていたところ、昨年12月25日、いよいよそれが実現することとなった。鉄道事業の「許可」と軌道事業の「特許」があったのである。それぞれ別の法律に基づく事業である。

延伸区間は「千里中央」から「(仮)箕面船場」、「(仮)新箕面」の2区間2.5kmで、「(仮)箕面船場」までの1.3kmは鉄道事業法に基づく事業、そこから先の「(仮)新箕面」までの1.2kmは軌道法に基づく事業だという。もちろん、電車を運行するのは両区間とも北大阪急行電鉄であり、乗り心地に何ら違いはない。

では、両事業の違いは何か。ポイントは路線の敷地である。

鉄道事業法は、第61条で「鉄道路線は、道路法による道路に建設してはならない」とし、軌道法は第2条で「軌道ハ、特別ノ事由アルヲ除クニ他之ヲ道路ニ敷設スヘシ」としている。軌道とは、路面電車、道路上のモノレール等なのである。

国土交通省発足以前は、鉄道事業法は運輸省、軌道法と道路法は建設省が所管、と聞くと両事業の違いが納得できるだろう。

しかし例外はあり、国土交通大臣の許可があれば鉄道を道路に、軌道を道路外に敷設できる。したがって、鉄道だが道路上、軌道だが道路外という部分が見られ、しかもそれがかなり多いため、外見で鉄道・軌道の判別はできにくくなっている。

例えば、モノレールでも、東京モノレールは鉄道、多摩都市モノレール、大阪モノレールは軌道である。東京メトロは鉄道、大阪市営地下鉄は(一部を除き)軌道だ。阪神電鉄も開業当初は軌道であった。その経緯は様々であるが、今では、鉄道に対する国の補助金や、道路財源をうまく活用するために使い分けている面があるらしい。

冒頭の北大阪急行の場合、鉄道と軌道からなることとなるが、箕面市の発表によると、鉄道区間については、インフラ(土木構造物)部分及び鉄道施設の両方を北大阪急行電鉄が整備し、軌道区間についてはインフラ部分を道路管理者でもある箕面市が、鉄道施設のみを同電鉄が整備する。そしてそれぞれの整備主体がその施設・設備を保有するとともに維持管理もしてゆくこととなる。

ところが、実はもっと複雑に混在する路線がある。ゆりかもめ、神戸新交通(ポートライナー、六甲ライナー)等である。概ね、道路法の道路(公道)上部分か、港湾法の道路(臨港道路)上部分かで区分けされているらしい。

どちらがどっちかは、言うまでもない。


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