BRIEFING.413(2016.11.24)

速報集計人口による遡及補間補正と確定人口による更新

直近の国勢調査は、平成27年10月1日時点(厳密にはその午前零時現在)を基準として実施されている。日本の男女別・年齢別人口や世帯数の実態が把握でき、国の今後の施策、たとえば災害対策や福祉、教育施策等の基礎資料となるものである。また民間にとっても事業の将来を見据えるための重要な資料となろう。

但しその集計には相当な時間がかかり、結果の公表は順次行われているところである。

総務省は、この国勢調査の結果に基づく推計人口(毎月1日現在)を公表しているが、この推計人口は、直近の国勢調査の結果に、毎月の人口動態統計と出入国管理統計の結果を加味して算出される。しかし、国勢調査は5年に1度であるから、その5年間の積み重ねの結果が次の国勢調査の結果にぴたりと一致することはない。何らかの理由で差が生じるのである。

そこで総務省では、国勢調査人口の速報集計がまとまった時点でこれを公表するとともに、前回の国勢調査以降の推計値との間に生じた誤差を遡及して「補間補正」することとしている。

「補間補正」の方法は単純で、各月の人口差を60ヶ月(5年)で割って各月に均等配分するだけである。

本年3月には、H27年国勢調査人口速報集計に基づく「遡及補間補正値(暫定値)」が公表されている。それ以前に公表されていた推計人口(H22年国調人口基準)と比較すると次表(単位:千人)の通りである。

H22国調
人口基準
H27国調速報集計
遡及補間補正値
 差
H23.10 127,799  127,840  41
H24.10 127,515  127,598  83
H25.10 127,298  127,423 125
H26.10 127,083  127,249 166
H27.09 126,876  127,080 204

両数値とも年々減少しているが、年月が経過するほどに両者間の差が開いていることが分かる。そして補間補正値の方が大きい。つまり、実際はこれまでの推計より人口がもう少し多かったのである。理由としては、住民票のない外国人の増加だろうか。補間補正値公表直前のH27年9月の人口差は、20万人を越えている。

なお、H27年10月(H28年3月公表)以降の公表値は、すでにH27国調速報集計に基づく補間補正値となっている。

ところで、上記「遡及補間補正値」は人口速報集計を基準とする「確定値」であるが、「速報集計」を基礎としているため「暫定値」でもある。そしてH27年国勢調査人口の「確定人口」によってこれがさらに「更新」されることとなっている。その公表は来月の予定だ。

せっかく「遡及補間補正」して一応の「確定値」を出しておきながら9ヶ月後に「確定人口」によって「更新」とは何とも煩雑で面倒くさい。


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