BRIEFING.425(2017.03.23)

「居住調整区域」による逆線引き(3)

都市再生特別措置法による「立地適正化計画」では、市街化区域内に「居住誘導区域」「居住誘導区域外の区域」「居住調整区域」(任意)が設定されるが、それが地価に影響を与え不公平が生ずる。そこで今回は大胆に「逆線引き型土地区画整理」を提案する。

まず、施行区域を鉄道駅中心に広範囲とし、周辺の市街化調整区域内の集落や開発団地も取り込む。飛び地もOKだ。そして、駅前に大規模マンションを建設し、区域内の全ての土地(宅地も農地も)をその中の住戸に変換する。住戸数は区域内の総世帯数の3割増し程度とし、増加分は分譲し、事業費に充てる。税制のバックアップも勿論必要だ。

照応の原則には目をつぶり、等価にのみ配慮する。土地区画整理というより市街地再開発やマンション建替えに近いかも知れない。

マンション用地の容積率は1000%程度とし、道路斜線・日影規制も緩和する必要がある。

その他の地域は原則として市街化調整区域に「逆線引き」の上、農地所有適格法人(農地法2条3項)に一括売却し、これも事業費に充てる。農業を続けたい人はそこに勤務する。

所有者の所在の把握が難しい土地は、一定の手続きの後、取り込んでしまえばよい。

その結果想像できる景色は、農地・原野の中に、駅と超高層マンションがある姿だ。不要となった道路・集落は廃止だ。延びきったライフラインの維持・更新も不要となり、市町村の将来負担は減少する。その現在価値は大きい。

国土交通省都市局は、土地区画整理事業の活用事例を次の5つに整理している。将来この案が6番目に列挙されないだろうか。

(1)中心市街地の活性化
(2)密集市街地の解消
(3)街区再編による土地の高度利用
(4)拠点市街地の形成
(5)スプロール市街地の改善

来るべき超高齢化社会、そして重くのしかかる老朽インフラの維持・更新という現実から我々は逃れることができない。批判は承知で非現実的と思われることも検討してゆかねばなるまい。また、不公平をなくすつもりが逆により不公平を生むことにならぬよう、公平妥当な換地計画(権利変換計画)が必要だ。

遺跡探検気分の廃集落・廃団地ツアーで外国人観光客も呼べる、と考えれば少しは地域の明るい未来が見えてくるのではないか。


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