BRIEFING.43(2003.1.23)
永久還元における減価償却費の意義(2)
前回、減価償却費の意義について「永久的純収益把握説」のうちの「再築費積立て説」が妥当と述べた。しかしこれにも次のような批判が考えられる。
- @インフレにより減価償却費の積立てだけでは、再築費に不足する。
- A耐用期間中、適切な維持管理修繕費を投じていても純収益を維持することは困難。
- B耐用期間満了直前の数年間は極めて低い稼働率を覚悟すべき。
- C賃借人への立退き料が考慮されていない(定期借家なら不要だが)。
- D建物取壊し費用が考慮されていない(考慮する場合もあるが)。
- E建替え工事期間が考慮されていない(考慮する場合もあるが)。
それぞれの批判に反論するとすれば以下のようなことであろうか。
- @積立てた減価償却費をインフレ率を上回る利率で運用すれば再築費の捻出は可能。
- A耐用期間中の純収益の逓減は還元利回りで考慮すべき。
- BCDE遠い将来のことならその現在価値は無視できる。近い将来なら考慮する。
いずれも程度の問題で、実際に試算してみてから妥当性を判断する必要があるが、これについてはまたの機会としたい。
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