BRIEFING.44(2003.1.30)

差額配分法における借地人の寄与度

継続賃料の鑑定評価の手法の1つ、差額配分法は、価格時点における対象不動産の正常賃料と実際賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち、貸主に帰属する部分を適切に判定して得た額を実際賃料に加減して試算賃料を求める手法である。

「貸主に帰属する部分」については「貸主又は借主の近隣地域の発展に対する寄与度」も分析して判断することとなる。

地価の上昇期には、それが借地人の地域に対する寄与の結果と主張されることがあった。借地人がそこに建物を建てて居住または営業してきたのに対し、地主は何もしなかったからである。

地価の下降期にはいって、この理屈は通らないものとなったが、次のような場合、借地人の寄与を認めるべきであろう。

●工業地域の工場跡地を賃借して商業施設を建築し、近隣地域の活性化を促した。
●借地人が対象不動産外の河川改修、道路整備等を行った。
●借地人が道路より低かった地盤面に盛土をし、等高とした。
●借地人が開発協力金、造成費、防災工事費等を負担して開発した。

これらは近隣地域または対象不動産の価値の上昇に寄与するものである。一方、地域の発展を阻害するような土地利用をしている場合には、借地人にマイナスの寄与が認められる場合もある。どちらの寄与によるものでもない一般的要因としての地価変動とは、分離して把握し「寄与度」を判断する必要があろう。


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