BRIEFING.440(2017.08.23)
路線価の一刻みと変動率
先月、国税庁は「相続財産評価に関する基本通達」に基づく平成29年分路線価等を公開した。
路線価には、相続税等の基礎となる路線価と、固定資産税等の基礎となる路線価とがあり、前者は毎年7月に国税庁が、後者は3年に1度春に市町村(東京23区内は都)が公開する。どちらも路線(道路)に付けられた価格であり、それがその路線に面する標準的な宅地の価格とされる。先月公開されたものは前者、相続税路線価である。
その最高路線価は、東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通りで40,320千円/uであり、対前年で26.0%もの上昇となった。その他の主な都市の最高路線価は下表の通りである。
都市名 | 所在地 | H29年分路線価 | 対前年 |
東京 | 中央区銀座5 | 40,320千円/u | 26.0% |
横浜 | 西区南幸1 | 9,040千円/u | 15.7% |
名古屋 | 中村区名駅1 | 8,800千円/u | 4.8% |
大阪 | 北区角田町 | 11,760千円/u | 15.7% |
福岡 | 中央区天神2 | 6,300千円/u | 12.5% |
1千万円以上の所では上4桁と随分細かく表示される。そこまでの精度があるか疑問であるが、通常1万円刻みで表示されるため、このようになる。
しかし、30万円未満の所では5千円刻み、10万円未満の所では千円刻みとされ、価格水準が低いほど刻みが細かくなっている。
これを表にすると次の通りとなる。1区分の幅が大きいため、各区分の上の方と下の方とで、1刻みの違いによる変動率が大きく異なることが分かる。なお、最上段の例は、前述の銀座5丁目の価格がもう1刻み上がった場合の変動である。
区分 | 刻み | 変動の例 | 変動率 |
300千円以上 | 1万円 | 40,320→40,330 | +0.02% |
300→ 310 | +3.33% | ||
300〜100千円 | 5千円 | 295→ 300 | +1.72% |
100→ 105 | +5.00% | ||
100千円未満 | 1千円 | 99→ 100 | +1.02% |
5→ 6 | +20.00% |
100千円/uから1刻み上がると5%アップとは荒っぽい。5千円/uが1刻み上がれば20%アップで、これはさらに荒っぽい。誤解を生ずるおそれもある。
一律に上3桁を有効とする等の改善が望まれる。
最下段の5千円/uは青森県むつ市仲町の実際の路線価である。なお国税庁では最低路線価を公表していないため、これが最低とは限らない。