BRIEFING.444(2017.09.21)

外貨で見る超都心の地価

先頃、都道府県地価調査の結果が公表された。

圏域別に見ると、住宅地については東京圏の平均変動率は4年連続して小幅な上昇、大阪圏の平均変動率は3年連続して横ばいとなった。商業地については東京圏の平均変動率は5年連続の上昇となり上昇幅も昨年より拡大、大阪圏も平均変動率は5年連続の上昇となり上昇幅も昨年より拡大している。

しかし、東京の超都心地点について見てみると、上昇率が昨年より下がっている地点が目立つ。一時の急騰も峠が近いのだろうか。

BRIEFING.351(2014.11.25)では、2014年に東京都心の地価が上昇に転じたものの、それをドル建てで見てみると(円安・ドル高が進んで)逆に地価は下落していることを示した。外資から見れば日本の土地は割安だったのである。

では、近年はどうだろうか。

下表は基準地・新宿5-4(新宿区西新宿1丁目)の公示価格(1u当たり単価)を、各年の平均為替相場によって米ドル建てと人民元建てに直したものである。2017年の為替は1月〜最近までの平均である。

 年 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017
千円 u単価 12,300 12,000 12,200 12,900 14,100 16,100 18,000
ドル
 
為替 79.8 80.0 97.6 105.9 121.0 108.8 112.4
u単価 154 150 125 122 117 148 160

 
為替 12.3 12.6 15.8 17.2  19.4 16.4 16.4
u単価 1,000 952 772 750 727 982 1,098

まずドルで見てみると、地価は「爆買い」が流行語となった2015年にやっと底を打ち、2017年には160ドル/uにまで値上がりし、東日本大震災のあった2011年の水準を初めて上回ったことになる。

元で見てみると、やはり2015年に底を打ち2017年には1,098元/uとなり、やはり2011年の水準を初めて上回っている。

この間、円建て地価は+46%もの上昇であるから、見る人(国)によっては日本の地価に対する感じ方は大きく異なるものと思われる。

昨今、中国人の「タワマン爆売り」が見られるとの雑誌報道もある。元建て地価が6年前の水準に戻り、もうこれ以上取得する動きはなかろう、ならば早く売却し自国や他の新興国への投資に回す、という動きであろうか。

元建て地価が6年前に戻った今、「タワマン爆売り」報道が出たのは偶然とは思えない。東京パラリンピック・オリンピックまでは大丈夫、と言われる東京の地価だが、動向は読めない。


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