BRIEFING.49(2003.3.7)
不動産は買うべきか、借りるべきか?(1)
事務所を構えよう、店舗を経営しよう、あるいは所帯を持とうとする人がそのための不動産を探す場合、まず買うか借りるかという判断がある。資金力により選択肢が限られる場合が多いが、全額借入れ可能とすれば、その判断は何に依存して行われるだろうか。
同じ土地建物を取得する場合と、賃借する場合とで、下記条件の下、比較する。
●取得費は全額借入(n年間固定金利)、n年後売却。
●取得費のうち土地分は元利均等、建物分は元金均等返済。
●諸税、手数料等は無視。
●賃借でも、取得したのと同様に使用収益可能。
●賃借に際し一時金なし、賃料は常に積算賃料(期待利回り一定)。
●積算賃料の基礎価格は(再調達原価×(n−経過年数)/n)で算出。
●減価償却費は定額法(n年間)、残価率0。
●n年後の売却代金は土地値(解体・除去費用は無視)。
●インフレ率=0、借入金利=期待利回り=割引率とする。
それぞれの場合に、毎年必要(Dはn年後に返戻)な現金は次の通り。
取 得 | 賃 借 | |||
土地取得費返済(元利均等)@ | 賃料 |
純賃料 |
土地 E | |
建物取得費返済 (元金均等) | 金利 A | 建物 F | ||
元本 B | 減価償却費(定額法)G | |||
維持管理修繕費 C | 維持修繕管理費 H | |||
売却代金(n年後に返戻) D |
まず、C=H、B=Gであるからそれぞれ相殺される。また、借入金利=期待利回であるから、A=Fでありこれも相殺できる。
@DとEとは、その現在価値の合計で比較する必要があるが、借入金利=期待利回り=割引率であるから、詳細は省略するがこれについても相殺可能である。
とすれば取得も賃借も損得なしとなる。次回はインフレ率を考慮して検討する。