BRIEFING.491(2019.01.15)

民泊用地と固定資産税の住宅用地特例

昨年6月の住宅宿泊事業法施行により、3種類の民泊が出そろった。国交省の民泊制度ポータルサイト「minpaku」にはそれらを比較した表が公表されているのでその一部を紹介する。

 
  旅館業法(簡易宿泊所) 国家戦略特区法 住宅宿泊事業法
許認可等 許可 認定 届出
住専地域での営業 不可 可能 可能
営業日数の制限
 
なし 2泊3日以上
(令12条1項2号)
年間180日以内
(法2条3項)
 

なお、条例等により、上記以外の制限が付加されている場合もある。

ところで、土地所有者等に課せられる固定資産税・都市計画税には住宅用地の特例があり、その課税標準額は、特例適用前に比べ、固資税で1/3、都計税で2/3に軽減される。小規模住宅用地(200u以内)の部分についてはさらにその半分である。なおここで住宅とは「専ら人の居住の用に供する家屋」(地方税法349条の3の2)であり、詳細は市町村の事務取扱要領等に定められている。

そこで問題となるのが、民泊敷地の扱いである。旅館業法の簡易宿泊所としての民泊が住宅でないことに異論はなかろうが、他の2つはどうだろうか。検討してみる。

●国家戦略特区法に基づく民泊(特区民泊)
法13条1項に「旅館業法の特例」として定められている。そこには「住宅」という文言は見当たらず、「外国人滞在施設経営事業」について、外国人旅客の「滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させる」とともに「滞在に必要な役務を提供する」事業と説明されている。この法律がなければ旅館業法の対象となる「事業」である。

●住宅宿泊事業法に基づく民泊(新法民泊)
法2条1項に、この法律における「住宅」の定義があり、次の2要件に該当する家屋をいう。@当該家屋内に台所、浴室、便所、洗面設備その他の当該家屋を生活の本拠として使用するために必要なものとして国土交通省令・厚生労働省令で定める設備が設けられていること。A現に人の生活の本拠として使用されている家屋、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋その他の家屋であって、人の居住の様に供されていると認められるものとして国土交通省令・厚生労働省令で定めるものに該当すること。

こうしてみると、特区民泊は本来「旅館業」だが特別に旅館業法の対象外とされた「事業」であるからその敷地は住宅特例の対象外と推測できる。一方、新法民泊は「住宅」でできる「事業」であるから一概には判断できない。

これに関し総務省固定資産税課長は、新法施行前の平成30年2月、新法民泊敷地の住宅用地特例について各道府県総務部長らに宛てた通知を発している。その概略は次の通りである。

1.新法民泊に供されているか否かにかかわらず、実態に照らして判断せよ。
2.賃借人者募集中でも適用対象だが、別荘(毎月1日以上居住するものは除く)は対象外。
3.実態を適切に把握せよ。

「住宅で民泊をやったら対象外」とは限らず「別荘で民泊をやれば対象」という訳でもない。


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