BRIEFING.50(2003.3.13)
不動産は買うべきか、借りるべきか?(2)
前回、諸条件設定の上、次表に基づき、不動産の取得・賃借に損得なしと結論付けた。そもそも損得がないように賃料が設定されると言ってもいいだろう。
取 得 | 賃 借 | |||
土地取得費返済(元利均等)@ | 賃料 |
純賃料 |
土地 E | |
建物取得費返済 (元金均等) | 金利 A | 建物 F | ||
元本 B | 減価償却費(定額法)G | |||
維持管理修繕費 C | 維持修繕管理費 H | |||
売却代金(n年後に返戻) D |
今回はインフレ率0の条件を削除して検討する。なお、インフレ率は、土地建物その他諸物価に共通とし、全期間一定とする。
まず、インフレ率がプラスの場合を想定する。
CとHはともに上昇するが相殺できることに変わりはない。
そして@ABはインフレに無関係で、Dはインフレにより上昇する。その結果最終的な負担は減少する(利益が生ずる場合もある)。
一方、Eは上昇し、Fも相対的に上昇する。Gも会計上の減価償却費と異なり各時点の再調達原価に依存して決まるため上昇する。その結果負担は増加する。
したがって、インフレなら取得の方が有利、デフレの場合はその逆で、賃借有利という当たり前の結論になる。つまり不動産を買うか借りるかの判断は、将来、インフレと見るかデフレと見るかにかかっていると言えよう。
但しインフレ時には、借入金利>期待利回りと考えられるため、現実はこのように単純でないことは言うまでもない。