BRIEFING.519(2020.02.17)

駅名変更でイメージ・アップ(1)

来月14日、JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ」駅が開業する。JR東日本グループが取り組む「品川開発プロジェクト」により開発される地区の正面玄関となる駅であるが、その名称決定の経緯についてはすでにご承知のところである。また、6月6日には東京メトロ日比谷線に「虎ノ門ヒルズ」駅も開業する。ともに駅周辺の施設案内を意図した駅名と言える。

一方、東急田園都市線「南町田」駅は昨年10月1日に「南町田グランベリーパーク」に駅名変更されている。このように、施設案内を意図したと思われる駅名変更として次のものが揚げられる。

東急電鉄 南町田 南町田グランベリーパーク
東武鉄道 業平橋 とうきょうスカイツリー
ゆりかもめ
 
船の科学館 東京国際クルーズターミナル
国際展示場正門 東京ビッグサイト
京阪電鉄 別所 大津市役所前

なお「船の科学館」はその規模が縮小されたのでより大きな施設の名称を取り入れ、「国際展示場正門」はより通りのよい愛称に変更した、ということだろう。

昨年11月30日には相模鉄道に「羽沢横浜国大」駅が開業している。これも施設案内であるが、大学名の借用は、街のイメージアップになるのか近年増加している。以下は、この他に駅名変更によって大学名を冠することとなった駅である。

阪急電鉄 石橋 石橋阪大前
京阪電鉄 深草 龍谷大前深草
阪神電鉄 鳴尾 鳴尾・武庫川女子大前
大阪モノレール 柴原 柴原阪大前
東武鉄道 松原団地 獨協大学前

2023年度開業予定の北大阪急行「(仮称)箕面船場」も「箕面船場阪大前」に変更されている。

ところで、駅名の変更は容易にできるのだろうか。

鉄道事業法7条1項は「事業基本計画(中略)を変更しようとするときは、国土交通大臣の認可を受けなければならない」としつつ、国交省令で定める「軽微な変更については、この限りでない」とし、同法施行規則8条1項3号に「軽微な変更」の1つに「駅の名称」の変更を挙げている。そして同法7条3項は、その場合「遅滞なく、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない」としている。

つまり「駅の名称」の変更は、事後の届出でOKということになる。

駅名は、地域イメージを形成する。したがって大規模施設名や大学名を冠することは、地域のイメージ・アップにつながり、人気、価値の向上、延いては地価の上昇にも寄与するものと考えられる。

いざ駅名変更となれば、駅名看板や表示の取替え、料金システムの更新、利用者への周知等、相当の費用が発生するであろう。しかし、法律上の手続きは大臣への届出だけとは意外である。

次回は、神社・仏閣等の観光案内を意図したかのような駅名変更をご紹介する。


BRIEFING目次へ戻る