BRIEFING.76(2004.7.29)

固定資産税負担水準緩和の効果

平成16年度税制改正により、商業地等に係る固定資産税・都市計画税の負担水準緩和が可能となった。これまで両税に係る土地の評価額は、公示価格水準の7割程度(BRIEFING.1参照)であり、課税標準額はさらにその70%が上限とされていたところ、今回、地方自治体の条例によって60〜70%の範囲に下げることができるようになったのである。

これによる減税があった場合、不動産の価格や賃料にどのような効果があるだうか。

まず、不動産所有者の立場から考える。

両税は収益価格に係る総費用の1つであるから、これが下がればそれだけ総費用が減少し、純収益が増加する。これを同じ還元利回りで還元すれば、求められる収益価格は上昇する。

次に不動産賃借人の立場から考える。

両税は積算賃料に係る必要諸経費等の1つであるから、これが下がればそれだけ求められる積算賃料は下落する。

以上より、価格の上昇・賃料の下落という相反する結果が導かれた。

これを関連づけるのが市場である。

賃貸市場が完全に借り手市場であれば減税分だけ賃料が下落してしまう。純収益が増えないので価格も上昇しない。逆に完全に貸し手市場なら賃料は維持されて減税分だけ純収益が上昇し価格は上昇する。

どちらでもなければ、賃料が少し下がって価格は少し上がるといったところであろうか。実際の効果は比準賃料・比準価格が求められるのを待たねばならない。


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