BRIEFING.77(2004.9.2)

2項道路沿いの怪しい分筆

建築基準法第42条第2項の道路、いわゆる2項道路とは「この章の規定が適用されるに至った際現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道で、特定行政庁の指定したもの」であり、「その中心線から水平距離2mの線をその道路の境界線とみなす」こととされている。幅4m以上でなければ建築基準法上の道路ではないという原則に対する、例外規定である。

これは、このような道路に面した宅地の救済規定であるが、反面、必要のないセットバックを強いられる規定となる場合がある。

ある商業地域の駐車場は、幅8mの市道に面する奥行26mの画地である。そしてその背面は幅2mの2項道路に面している。ここに建築物を建てるには、背面部分で1mのセットバックが必要となる。さらにこの部分で、隣地斜線より厳しい道路斜線制限を受けることになる。

そこで駐車場の所有者は、次のようにしてこの規制を逃れた。

@2項道路に沿って1mの幅で土地を帯状に分筆する。
A分筆した土地を敷地外として建築確認申請をする。
 この場合、背面部分の斜線制限は隣地斜線でよい。
B竣工検査後、分筆した土地をも敷地に取り込む。

これは脱法行為で許されるものではない。特定行政庁の適切な対応が望まれる。

なお、2項道路については、「この規定が適用されるに至った際」の道の範囲の確定やその管理が、概ね周辺地権者に委ねられており、行政は積極的には関与しないようである。地権者の申し出により、行政が中心線を明示する等、行政の主導的関与を期待したい。


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