BRIEFING.78(2004.10.4)

差額配分法による“事前調整”は必要か?

継続賃料を求める鑑定評価の手法には、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等がある(BRIEFING.69参照)。

このうち、差額配分法は、現行賃料と正常賃料との間に生じている差額を貸主・借主で「配分」するもの(BRIEFING.44参照)であり、求められる試算賃料は、両賃料の間のどこかとなる。

この試算賃料を、他の手法から求められた試算賃料と関連づけ、軽重に係る判断等の「調整」を行って適正な継続賃料が決定される(下図@参照)。

ところで、この試算賃料の「調整」の段階において、現行賃料と正常賃料とは、すでに調整されて1つの試算賃料という形に加工されてしまっているため、その姿はすでにない。

しかし、実務上、求められる適正な継続賃料が、現行賃料の何%アップ(ダウン)となるのか、正常賃料との乖離がどの程度縮小されるのか、これらは常に意識するところである。

それならば“事前調整”をやめてこの両賃料を表舞台に引っぱり出し、5賃料で「調整」(下図A参照)を行ってはどうだろうか。実務上、目配りする賃料にも合致する。継続賃料を争う両当事者や、裁判官にも解り易いと思うのだがいかがであろうか。

@“事前調整”後の4試算賃料による調整
実際賃料
差配分法に
よる試算賃料
正常賃料
利回り方による試算賃料
スライド法による試算賃料
比 準 賃 料





調


 




 

適正な
継続賃料

 




 
 
A“事前調整”前の5賃料による調整
実 際 賃 料
正 常 賃 料
利回り方による試算賃料
スライド法による試算賃料
比 準 賃 料





調


 




 

適正な
継続賃料

 




 
 

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