BRIEFING.80(2004.11.25)

複数筆からなる土地の各筆への価格配分

1つの建物の敷地として一体利用されている土地が、複数の筆から成っていることは多い。ある1筆は道路に面しており、ある1筆は面していないといったこともある。しかし通常、このような1筆1筆の土地に価格を付ける必要性も意義も乏しい。

ところが、所有者が異なったり抵当権者(またはその順位)が異なったりした場合、その必要が生じる。

ある人が融資を受けて数筆のつながった土地を順次取得し、これを自動車教習所として利用していた。土地Aは公道に面し、別の土地Bは無道路地である。そして土地Aにはa銀行1番、b信金2番の抵当権が、土地Bにはその逆の順位の抵当権が付いていた。そして経営破綻となった。

このような場合、土地はもちろん一括処理されるが、把握した担保価値の配分に問題がある。

a銀行は土地Aから、b信金は土地Bから、優先的に債権を回収することができる。しかし土地Aに比べ、土地Bの単価は3分の1、いや5分の1か・・・。

これではb信金に酷である。と言って同単価ではa銀行に不満が残る。

一方、あるデベロッパーは都市近郊の山林数百筆をそれぞれの所有者から買収したが、その単価は一部の例外を除き同一であった。各筆の接道状況、形状、地形等は様々であろうが、一律の方が理解が得やすかったのであろう。

またある郊外型ショッピングセンターは、数十筆もの農地をそれぞれの所有者からその敷地として賃借しているが、その賃料単価も一部の例外を除き同一である。この場合も同じ事情なのであろう。

今後、考え方の整理が期待される。


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