BRIEFING.191(2009.02.23)

「かんぽの宿」一括譲渡価格の評価上の論点(2)

前回、費用面からのアプローチが有効な場合と無意味な場合とを説明した。では、無意味な場合、どう考えればよいだろう。収益面だけ見て0円でよいだろうか。

確かに今の土地代と建築費ではだめだろう。しかしもう少し安ければ、土地を買って建物を建てて・・・という経営者も出てくるかも知れない。

総額で半分ぐらいに下がれば・・・。いや1/3か。1/4か。下がってくればどこかで事業に乗り出す人が出てくるに違いない。

「適正な価格」はそれを待って具現化するのである。そして、待たずに具現化するケースとしては、既存施設の売買である。

「2,400億円かけた施設なのだから・・・」と言う批判は的はずれと言わねばならない。

そして2つ目の論点は、一括譲渡による割引(減価)の程度についてである。

不動産鑑定評価においては、広大地減価、あるいは地積過大による減価という概念がある。そしてその減価の要因は、次の2つ(BRIEFING.027参照)に分解することができる。

@使いやすく区画割りすると“潰れ地”ができる。
A1つ1つは適当な規模でも、数がまとまれば安くなる。

「かんぽの宿」はもともとバラバラの物件であるから基本的にはAの要因のみが考慮されたはずである。リンゴ1個100円でも、1山なら1個当たり90円というのと基本的には同じであり、不動産においても、売れ残りマンションのファンドへのまとめ売り、分譲宅地のハウスメーカーへの卸売り等がある。販売費を減らせるし、販売期間も短縮できる。その間のリスクを回避できるのも大きい。

しかし、これにもどの程度まとまればどの程度の割引があるのか、という“相場”らしきものは認められず、その時の経済環境や物件の個別性に加え、双方のリスク許容度や資金繰りといった事情にまみれた価格形成がなされることになる。

残念ながら両論点には、未だ一定の規範を見出すには至っていない。

そのような中、それを市場に問うのが入札である。但し公平な入札でなければならないことは言うまでもない。


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