BRIEFING.482(2018.10.04)
固定資産税の「据置ゾーン」温存で残る不公平(2)
前回紹介した地方財政審議会の「意見」が指摘する「評価額と税額の高低が逆転するといった不公平な状態」とはどのような状態であろうか。以下はその例である。評価額の高い土地@の方が、評価額の安い土地Aよりも税額が低いことが分かる。
@評価額90万円/u×負担水準60%×1.4%=7,560円/u
A評価額80万円/u×負担水準70%×1.4%=7,840円/u
70%でも60%でも65%でもよい、据置ゾーンを撤廃し早期に負担水準を収束させ、さらに将来は100%にすべきである。住宅用地に軽減措置(1/3、1/6)があるのに比べて100%は酷だと言うなら、商業地等についても軽減措置(一律60又は70又は65%)を設ければ明快である。
すでに全国の99%以上の商業地等の負担水準はこのゾーン内にある。そして今後、地価が不変、すなわち評価額が不変とするなら、今の負担水準は固定化されることになり看過できない。
では、評価額が変動するとどうなるだろう。下表は第2年度に評価額が20%上昇(1)または下落(2)しその後は安定した場合を想定している。そしてそれぞれについて、当初の負担水準が70%または、60%からスタートした場合について試算した。
| 年度 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | ||
| 評価額(円/u) | @ | 500,000 | 500,000 | 600,000 | 600,000 | 600,000 | |
| 変動率 | (当年度@/前年度@)−1 | +0% | +20% | +0% | +0% | ||
| 負担水準70%〜 | 前年度A/当年度@ | 70% | 58% | 60% | 60% | ||
| 課税標準額 | A | 350,000 | 350,000 | 360,000 | 360,000 | 360,000 | |
| 変動率 | (当年度A/前年度A)−1 | +0% | +3% | +0% | +0% | ||
| 負担水準60%〜 | 前年度A/当年度@ | 60% | 50% | 55% | 60% | ||
| 課税標準額 | A | 300,000 | 300,000 | 330,000 | 360,000 | 360,000 | |
| 変動率 | (当年度A/前年度A)−1 | +0% | +10% | +9% | +0% | ||
| 年度 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | ||
| 評価額(円/u) | @ | 500,000 | 500,000 | 400,000 | 400,000 | 400,000 | |
| 変動率 | (当年度@/前年度@)−1 | +0% | −20% | +0% | +0% | ||
| 負担水準70%〜 | 前年度A/当年度@ | 70% | 88% | 70% | 70% | ||
| 課税標準額 | A | 350,000 | 350,000 | 280,000 | 280,000 | 280,000 | |
| 変動率 | (当年度A/前年度A)−1 | +0% | −20% | +0% | +0% | ||
| 負担水準60%〜 | 前年度A/当年度@ | 60% | 75% | 70% | 70% | ||
| 課税標準額 | A | 300,000 | 300,000 | 280,000 | 280,000 | 280,000 | |
| 変動率 | (当年度A/前年度A)−1 | +0% | −7% | +0% | +0% | ||
(1)ではどちらの場合でも負担水準は60%に収束する。(2)では70%に収束する。さらにIF関数を用いて試算してみると、70/60の上昇(+16.67%)でともに負担水準60%に、60/70の下落(−14.29%)でともに負担水準70%に収まることが分かる。それより小幅の変動では負担水準に差が残る。つまり上下どちらかに一旦大きく揺さぶられると同水準に落ち着くという訳だ。
この複雑で難解な措置の温存にどのような意味があるのだろうか。