BRIEFING.618(2024.05.27)

不動産IDと不動産番号(その1)

国交省は令和4年(2022年)、不動産を一意に特定することができる、各不動産の共通コードとしての「不動産ID」に係るルールを整備・公表した。これは、不動産業界内のみならず、今後、電気・ガス・水道・通信等の生活インフラや、まちづくり、物流分野等のより広い社会における活用が期待されている。

この不動産IDは、従来から使われている13桁の「不動産番号」に加えた4桁の「特定コード」の計17桁で構成されている。これが1つの不動産に対応する。「不動産番号」は従来からあるもので、一筆の土地や一個の建物ごと(区分所有建物である場合には一個の専有部分ごと)に、登記簿の表題部に記載される符号である。登記事項証明書の右上に表示されており、インターネットで取得される登記情報においても同様に表示されている。

後に続く「特定コード」は「不動産番号」のみでは対象となる不動産を特定できない場合に、それらを特定する符号である。区分所有でないマンション(分譲ではない賃貸マンションの多く)の各戸を特定する等の場合に使用される。

さて、「不動産番号」は、従来から登記情報に表示されていたものの、その付番のルールはあまり周知されていない。何かルールはあるのだろうか。

不動産登記規則(第90条)には「・・・不動産を識別するために必要な事項として、一筆の土地又は一個の建物ごとに番号、記号その他の符号を記録することができる。」と定められている。しかしその付番のルールは見当たらない。登記情報提供サービスのサイトには「一筆の土地又は一個の建物ごとに付けられた番号で不動産を特定(識別)するための13桁の番号」としか説明されていない。ランダムに割り振られているのだろうか。

総務省の所管する「全国地方公共団体コード」とは無関係で、「不動産番号」から、所在する市町村は勿論、都道府県すら伺い知ることができない。どうせなら「全国地方公共団体コード」、さらには所在、地番又は家屋番号まで組み込めばよかったのではなかろうか。

ただ、13桁の内、最初の4桁については、その不動産の登記されている「登記所コード」であることが知られている。これによりある程度の所在地は分かることになる。その概略は次の通り。

「登記所コード」の1、2桁目は全国8つの法務局と42の地方法務局(計50)に割り当てられた番号だ。なお各都府県には1つ法務局又は地方法務局があり、北海道のみ1法務局と3地方法務局がある。番号は、関東甲信越地方に01〜11、近畿地方に12〜17、中部地方に18〜23、中国地方に24〜28、九州地方に29〜36、東北地方に37〜42、北海道地方は43〜46、そしてなぜか最後に四国地方に47〜50が割り当てられている。

3、4桁目は、前述の法務局の支局及び出張所を指している。例えば東京法務局(本局)なら0100で3、4桁目は00で、同八王子支局は0101、同港出張所は0104といった具合である。

ところで、1、2桁目の数字の順番が、東京(01)から西へ進み、那覇(36)から仙台(37)へ飛び、福島・山形・盛岡・秋田・青森・北海道(43〜46)を経て、最後に高松(47)・徳島(48)・高知(49)・松山(50)となっている。どういう訳だろうか。

そして5桁目以降は、不動産の存する地域とは関係のない数字である。

次回は、郵便番号、電話番号が、それぞれ各都道府県にどのように割り振られているかを比較してみる。


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