BRIEFING.628(2024.11.25)
業界3大経験値にもう1つ加えるとすると・・・
BRIEFING.332では不動産業界の3大経験値について指摘した。それは次の3つである。
●新築分譲マンションの初月契約率70%(好不調の目安)
●オフィスビルの空室率5%(切ると賃料が上昇に転ずる)
●不動産投信の分配金利回りと長期金利の差(スプレッド)3%(上回ると投資口価格が安すぎ)
いずれも新聞紙上でお馴染みの表現とともに紹介される数値である。留意点としては次のようなことが指摘できる。
分譲マンションの初月契約率は「期分け販売」により高率を演出することができる。多くの住戸を一度に販売せず、数戸ずつ、売り切れると見込める戸数だけ販売するのである。第1期、第2期、といったやつである。その結果、3期連続完売!などとなるのである。
また、オフィスビルの空室率を、賃料の値下げをせずに下げる方策としては、フリーレントの付与がある。入居当初の賃料を免除(タダに)するやつである。6ヶ月などというのは珍しくなく、1年間というのもあるらしい。短期解約にはペナルティーがあるとはいえ、10年間の入居で1年間のフリーレントなら、賃料10%引きに等しい。
不動産投信の平均分配金利回りは、ここ10年間程3%を切っていない。3.5〜5%程度である。投資口価格がずっと「安すぎ」なのであろうか。これはやや怪しい経験値となってきた。
さて、ここでもう1つ付け加えるとすれば、ホテルの客室稼働率80%ではなかろうか。80%以上なら好調で、客室単価も上昇に転じると言われる。また、人手不足を背景に、80%ぐらいが効率的でちょうどいいという意見もある。かと思えば、いやいや、固定費の高い業界だから80%を超えてからの部分こそが利益の出る美味しい部分じゃないか、という意見もある。
いずれにせよ、ホテルの稼働率80%はひとつの節目、好調のラインと考えられる。次の通り、不動産業界の4大経験値の4番目に加えるとしよう。
●ホテルの客室稼働率80%(好調のライン)
ところで、今から30年以上前、ホテルは宴会で儲けないと宿泊では利益が出ないと言われた時代があった。思い起こせば、結婚披露宴はホテルの宴会場で派手に行われ、新郎新婦の恩師に上司、同僚、学生時代の友人、親戚などが呼ばれ、主賓挨拶、乾杯の発声、上司のスピーチ、祝電披露と続く。華美な演出に賑やかな余興、キャンドルライトサービス、花束贈呈、さらには二次会・・・・・。
ホテルのロビーには、「本日のご宴会」の下に「〇〇家、〇〇家ご結婚披露宴」などいくつもの札が掲げられていたのである。大安吉日の日曜日は勿論、春秋の結婚式シーズンの日曜日は、宴会場の予約が1年前でも取りにくかったと記憶している。相手が決まる前に披露宴会場だけ予約したとか、予約した時とは違う相手と式を挙げたという話も・・・・・という時代であった。
それがバブル崩壊後の失われた20年を経て「宿泊特化型」が増え、アメニティーグッズだの、朝食付きだので競う。結婚式は地味婚、家族婚が今風だ。ただ、最近は宴会需要も増加傾向だという。宴会場の稼働率に注目が集まる日も来るだろうか。