BRIEFING.636(2025.03.31)
今年の地価公示は「楽しい日本公示」
地価公示法に基づき、令和7年1月1日時点の標準地の正常価格が公示された。それによると、全国平均で、全用途平均・住宅地・商業地のいずれもが4年連続で上昇し、その上昇率が拡大している。
用途別・圏域別に見てみると、住宅地では、東京圏4.2%、大阪圏2.1%、名古屋圏2.3%、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)は4.9%の上昇となっている。商業地では、8.2%、6.7%、3.8%、7.4%の上昇、工業地では、7.1%、7.3%、3.9%、9.3%の上昇となっている。
次に、変動率上位を見てみると次の通りだ。
<住宅地>
@富良野−4 北海道富良野市(31.3%)
A白 馬−1 長野県北安曇郡白馬村(29.6%)
B宮古島−6 沖縄県宮古島市(23.1%)
@Aは外国人スキーヤーに人気の地域で、別荘やペンションへの需要が旺盛だ。Bは島内需要が中心だが温暖な気候が魅力で島外からの転入者が増加していると言う。
<商業地>
@〜B千歳5−4、3、2 北海道千歳市(48.8〜36.8%)
C白馬5−1 長野県北安曇郡白馬村(33.0%)
D渋谷5-13 東京都渋谷区桜丘町(32.7%)
E菊陽5−1 熊本県菊池郡菊陽町(30.9%)
F台東5−4 東京都台東区浅草1丁目(29.0%)
G高山5−1 岐阜県高山市(28.8%)
@〜BとEは半導体メーカーの大規模工場が進出した地域である。その関連事務所や従業員らの消費や娯楽を支える施設の進出が影響していると思われる。CFGは外国人に人気の観光地。Dはサクラステージ至近だ。いずれも楽しそうな所ばかりである。楽しい所は地価も上がる。
元通産官僚で作家の堺屋太一氏の著書「団塊の後」「三度目の日本」には「楽しい日本」という言葉が登場する。これを引用したのが、今年1月の石破総理の施政方針演説である。「強い日本」「豊かな日本」、それに加えてこれからは一人一人が主導する「楽しい日本」を目指していきたい、という訳だ。国民の受けはあまり良くなかったようだが、地価公示価格は「楽しい日本」を指し示しているようにも思える。堺屋氏は1970年の大阪万国博覧会のプロデューサーでもあった。そう、今年は大阪・関西万国博覧会の年でもある。ますます「楽しい日本」になるのではないだろうか。
また、今年は昭和100年。戦後80年でもある。高度経済成長、公害、バブル崩壊、いくつもの大災害・・・。ぼつぼつ「楽しい日本」を目指してもよかろう。インバウンドはすでに「楽しい日本」を感じて押し寄せ、地価に多大な影響を及ぼしている。そこで今年の地価公示を「楽しい日本公示」と名付ける。
近年の地価公示の名称は以下の通りである。
●2021年(令和3年) 新型コロナ公示・・・・在宅勤務でオフィス余剰
●2022年(令和4年) Withコロナ公示・・・・・コロナと共存へ
●2023年(令和5年) オミクロン公示・・・・・・弱毒化で経済活動回復へ
●2024年(令和6年) 人流回復公示・・・・・・5類移行で人が街へ