BRIFING.650(2026.01.08)
建基法の「非常灯」と消防法の「誘導灯」
令和3年12月の大阪市北区のビル火災を契機として、建築基準法第12条第1項による「定期報告」を義務付けることのできる事務所ビルの範囲は、同法施行令第16条第2項を受けた同第14条の2第1項の改正により、大きく拡大されている。
具体的には「事務所その他これに類する用途に供する建築物」の「階数が五以上で延べ面積が千平方メートルを超えるもの」が「階数が三以上で延べ面積が二百平方メートルを超えるもの」とされたのである。特定行政庁は、その範囲の中の一定のものを指定して、その所有者等に「定期報告」を義務付けることになる。
これを受け大阪府は、大阪府建築基準法施行細則を改め、令和7年4月1日から「階数が五以上で延べ面積が三千平方メートル以上」だったものを「階数が三以上で延べ面積が二百平方メートルを超えるもの」としている。その結果、従来その範囲外であった多くの小規模・零細ビルがこれに含まれることとなっている。
この「定期報告」は「特定建築物の調査」「建築設備(換気設備、非常用照明装置等)の検査」「防火設備(防火扉、防火シャッター等)の検査」について行われる。
非常用照明装置とはいわゆる「非常灯」である。普段は点灯していないが、停電の際にはバッテリーで点灯(別電源のものもあり)し避難路を照らす照明器具である。火災で停電した場合には大変有用なものである。今回新たに定期報告の対象となったビルの中には、竣工以来点検が行われていなかった(定期報告の対象外だった)ものもあったであろうから、そのようなビルでは、今回の検査でバッテリーの老朽化で点灯しない等、多くの不具合が判明したものと思われる。そしてその報告の時期は「令和七年度及び令和七度から起算して三年度ごとの年度の四月一日から十二月二十五日まで」であり、昨年、報告は間に合ったものの、判明した不具合の改修はまだこれからというビルが多いと思われる。
今回、多くの「非常灯」のバッテリーの交換を迫られたビル所有者の中には、「誘導灯」については年2回の点検を行い、適宜バッテリー交換をしていたのに・・・という方も多いと思われる。
「誘導灯」は消防法(第17条の3の3)の消防用設備等点検報告制度に基づき1,000u以上の防火対象物に対し、6ヶ月に1回の点検が義務付けられているのである(消防署長等への報告は1年に1回(特定防火対象物)、又は3年に1回(非特定防火対象物)でよい)。
「非常灯」は停電時のみ点灯、「誘導灯」は原則として常時点灯していて停電時にも点灯する。どちらもバッテリー(蓄電池)が内蔵されている照明器具であり、停電発生から「非常灯」は30分間以上(一定の大型施設では60分間以上)、「誘導灯」は20分間以上(同)点灯しなければならない。そして前者は建築基準法に基づいて設置・点検され、後者は消防法に基づいて設置・点検されるという大きな違いがある。点検者の資格も、前者は一級建築士等、後者は消防設備士等と異なる。かくしてその点検は別々に行われ、その結果は別々の所に報告されるのである。
点検・報告のタイミング合わせ、両方できる資格を作る等して統合できないものだろうか。