BRIFING.651(2026.01.27)

違和感ある不動産・建築業界用語とその語源

それぞれの業界には、その業界独自の用語がある。中にはその業界に縁のない人にとっては、その言葉とその意味の間に違和感を感じてしまうようなものもある。

●(生コンを)打つ
生コンを型枠に流し込むこと。流し込んだ後、それが隅々まで行き渡るよう、バイブレーターなどで振動を与える必要があるが、昔は竹の棒で流し込んだ生コンを突いたり混ぜたりしていた。この、流し込んで「突く」または「押し込む」作業を「打つ」と表現したのはなぜだろうか。

●(手付けを)打つ
これも「打つ」。タフな交渉後の合意「手打ち」から来ているのか、他の購入検討者に先んじて「先手を打つ」から来ているのか。「支払う」や「入れる」でないのはなぜだろうか。

●一筆(の土地)
登記簿上、1つの土地。広さには全く関係がない。他の土地と区別して取引の単位となる土地の単位。太閤検地の検地帳に、一行で記された土地というところから来たというのが通説。ならば一行、二行とならなかったのはなぜだろうか。

●(エレベーターの)かご
どう見ても箱だろう。どこが籠だ。昔のエレベーターには内扉が斜めの格子状になっていた物があったが背面、側面、天井は板状の素材で囲われていたから籠とは呼びにくい。お殿様が乗る籠からという少数説もあるが、一人乗り、座って乗る、水平移動という点で全く異なる。英語のCargo(貨物、船荷、積荷)から来ているのではと睨んでいるが・・・。ちなみに米国ではCarと呼ばれている。Basketとは言われない。

●布基礎
布を基礎にしている訳ではないし、見たところ布のイメージも全くない。ではなぜ・・・。有力説としては、長く真っ直ぐ広げた反物をイメージし、水平に連なる基礎を意味するものとなったとの説がある。しかし布というと線より面をイメージし、ベタ基礎を連想してしまいそうだ。

●居抜き
主に店舗の建物賃貸借にあたり、従前賃借人が残置していった内装・設備をそのまま次の賃借人が利用する賃貸借。飲食店の場合、什器・備品、食器までそのまま使用することも。人(従前賃借人)だけが居なくなった状態を指してこう呼ばれるようになったものと思われる。関西で言う「煮抜き」(ゆで卵)からという少数説も。

●踊り場
階段の途中に設けられる平らな部分。転落の際、ケガが軽減される。しかし踊りを踊るほど広くはない。英語ではLanding。上陸とか着陸とか言う意味で、踊るという意味はない。鹿鳴館に日本で初めて踊り場が設けられたからという説あり。

業界用語の中には、法律用語となっているものから、隠語の様なものまである。現場の最前線にはまだまだ興味深い用語が眠っていそうである。


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