BRIEFING.015(2001.12.17)

地代の税に対する倍率

地代の高低を判断する場合の指標として、純地代の利回りと、地代の税に対する倍率とが、よく用いられる。

このうち地代の税に対する倍率を検討する場合、固定資産税・都市計画税が、土地の価格に対して実際にどれほどかかっているか(実効税率)を把握しておくことが重要ある。

これらの税を課税するための土地の評価額は、地価公示価格水準の「7割程度」とされている。そしてその価格に負担調整措置や、住宅用地の軽減の特例が加味され、税率(原則1.4%と0.3%)を乗ずる前の、課税標準額が算出されるのである。

住宅用地の軽減の特例の概要は、次の通り。但し市町村により異なる場合があるので注意が必要。

なお、併用住宅(一部のみ居住の用に供する家屋)の場合、その居住割合によって住宅用地の率が段階的に定められている。また、小規模部分は1住戸当たり敷地面積で判断される。

さて、負担調整については無視し、土地(200uとする)の価格をPとし、評価割合を7割とした場合、当該土地の用途により、税額は次の通り大きく異なる。その差は5倍以上である。

地代がともにPの3%であったとすれば、地代の税に対する倍率は次の通り。

倍率の大小の判断は、土地の課税上の用途を考慮してする必要がある。

ところで、住宅用地か否かは、当該土地に存する建物の用途を個別に判断して決定するわけであるが、市町村がそれをどこまで正確に把握することができるであろうか。竣工時は全戸居住用のマンションであったが今では多くの部屋が事務所として賃貸・使用されているにもかかわらず、居住割合100%として特例の適用を受け続けている賃貸マンション敷地もあると聞く。

大変に不公平な話であるが、その点はさて置き、倍率の検討には実際の税額の把握が欠かせない。


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