BRIEFING.151(2007.11.08)

不動産の取引における固定資産税等の精算

固定資産税、都市計画税は、毎年1月1日現在の不動産の所有者に課税される市町村税である。したがって、たとえ1月2日に不動産を売却したとしても、売主(1月1日現在の所有者)が、その年1年分の税金を支払う義務を負う。

しかしこれでは不公平感が否めないため、不動産の取引に当たり固定資産税等の精算が行われることが多い。

不動産の引渡・代金決済・登記移転(これらは通常同時に行われる)の日以降の分は、新所有者(買主)が負担することを取り決めるのである。

しかし納税義務者は1月1日現在の所有者である。そこで買主は、負担すべき固定資産税相当額を、取引時に売買代金の一部として売主に支払うこととなる。

ところで、年間の固定資産税等が、その年のいつからいつの分なのか、何ら規定がない。これは精算方法に係わってくることであり、実務上は次の2つの考え方が併存している。

@4月1日からの1年分(4月起算方式)
A1月1日からの1年分(1月起算方式)

そして主に大阪で@、東京でAが採用されていることから、それぞれ大阪方式、東京方式と呼ばれている。

たとえば4月2日に取引したとすれば売主・買主の負担割合は次の通りとなる。

@大阪方式・・・売主 1/365、買主364/365
A東京方式・・・売主91/365、買主274/365

それぞれの長所短所は次の通り。

@大阪方式
 ●取引時点で精算額が判明している。
 ●対象期間が納付時期(多くは4月末〜翌年2月末)とほぼ一致。
 ●対象期間の始期が納税者確定日(1月1日)と不一致。

A東京方式
 ●取引時点で精算額が判明しない場合がある。
 ●対象期間が納付時期(多くは4月末〜翌年2月末)と不一致。
 ●対象期間の始期が納税者確定日(1月1日)と一致。

東京方式の「判明しない場合」とは、その年の税額がまだ納税者に通知されていない時期(1月1日〜3月末頃)の場合で、後日判明してから精算という面倒くさいことになる。

しかし納税者確定日と対象期間の始期とがずれる大阪方式もしっくりこない。

いずれにせよ、精算をするかしないか、起算日をいつにするか、さらに精算額の土地建物の内訳(土地の税金分は土地代、建物の税金分は建物代とすることが多い)、消費税込みか否か、契約時によく確認しておく必要がある。


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