BRIEFING.290(2012.11.12)

月例経済報告に見る景気減速感

政府は、現下の景気についての公式な見解を示した報告書を毎月公表している。それが「月例経済報告」であり、内閣府が最新の経済指標をもとにこれを取りまとめ、経済財政担当相が関係閣僚会議に報告する。

基礎となる経済指標には、国民所得統計速報、個人消費、民間設備投資、住宅建設、公共投資、輸出・輸入・国際収支、生産・出荷・在庫、雇用情勢、物価等がある。

報告書の冒頭には、「景気は・・・」で始まる一文が記されており、それが日本経済の姿を一言で言い表している。今年1月以降の冒頭の一文は次の通りである。なお、「景気は」は省略した。

1月 東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、緩やかに持ち直している。
2月 同上。
3月 同上。
4月 同上。
5月 依然として厳しい状況にあるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。
6月 同上。
7月 同上。
8月 このところ一部に弱い動きがみられるものの、復興需要等を背景として、緩やかに回復しつつある。
9月 世界景気の減速を背景として、回復の動きに足踏みがみられる。
10月 引き続き底堅さもみられるが、世界景気の減速等を背景として、このところ弱めの動きとなっている。

「緩やかに回復」(5〜8月)が「回復の動きに足踏み」(9月)、「このところ弱めの動き」(10月)と変化していることが分かる。

不動産の価格形成要因には、その不動産の地積・形状・接面状況といった個性(個別的要因)や、その不動産の存する地域の性格(地域要因)等がある。

さらに、現下の景気といった一般的な要因(一般的要因)も大きい。

9月以降の景気減速感は、下げ止まり傾向であった地価水準にも、影響すると予想される。


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