BRIEFING.325(2014.02.04)
併合による増分価値の配分方法
幅員4mの道路に面したA地と幅員10mの道路に面したB地が背中合わせに位置しており、両土地それぞれ、及びこれらを併合した場合の面積、正常価格等が次の通りであったとする。
面積(u) | 単価(円/u) | 総額(万円) | |
A地 | 100 | 100,000 | 1,000 |
B地 | 200 | 300,000 | 6,000 |
合計 | 300 | 233,333 | 7,000 |
A:B | 1:2 | 1:3 | 1:6 |
併合 | 300 | 300,000 | 9,000 |
この場合、両土地の合計価格7,000万円より、併合した場合の価格の方が、2,000万円高くなるが、この差額を増分価値と言う。
また、A地所有者がB地を買う場合の価格や、その逆の場合の価格を限定価格という。それ以外の者が買っても増分価値を生むことができず、特定の当事者間でしか経済合理性が認められない価格である。
限定価格を求める不動産鑑定評価の手法としては、折半法、面積比法、単価比法、総額比法、買入れ限度額比法等がある。上記例では、B地所有者がA地を併合取得する場合のA地価格は次の通り求められる(単位:万円)。
A地価格+増分価値×配分割合=限定価格 | |
折半 | 1,000+2,000×(1/(1+1))=2,000 |
面積 | 1,000 +2,000×(1/(1+2)) ≒1,667 |
単価 | 1,000 +2,000×(1/(1+3))=1,500 |
総額 | 1,000 +2,000×(1/(1+6)) ≒1,286 |
買限 | 1,000+2,000×(3/(3+8)) ≒1,545 |
なお、買入れ限度額比は、互いに相手の土地を買っても損をしない最高価格の比で、上記例では次のように求められる。
(9,000万円−6,000万円):(9,000万円−1,000万円)=3:8
さて、これらの方法の選択基準について、不動産鑑定評価基準は何も言及しておらず、評価の実務上は「一般的」という理由で総額比法か買入れ限度額比法が採用される場合が多い。
一方、売買の実務上は、売って(または買って)ほしくても焦らず、足繁く通い、時には間を空け、懇意になってその気にさせる。つまり、ポーカーフェイス法、根気法、突き放し法、口説き落とし法を併用することが望ましい。もちろん不動産鑑定評価基準にはないことにご留意いただきたい。