BRIEFING.327(2014.03.03)

幽霊の多い都道府県(2)

日本全国では、国勢調査からの推計人口より、なぜか住民基本台帳人口の方が多く、その差は幽霊人口と呼ばれる。前回、都道府県別、東京都の市別で、その上位下位を見てみた。

今回は東京都23区、大阪24区で見てみる(平成25年10月1日)。

●東京23区

  幽霊率(%) 幽霊数(人)
 1 港区 110.3 港区  21,897
 2 千代田区 106.8 江東区  10,580
 3 台東区 102.7 葛飾区  7118
21 世田谷区 97.2 足立区 −16,009
22 文京区 96.0 豊島区 −18,948
23 豊島区 93.5 世田谷区 −25,036

港区、千代田区に幽霊人口が多いのはどういう訳だろう。住民票を置いてどこへ行ってしまったのだろう。その理由として、次の様な人がいるからではないだろうか。

(1)都合で他地域に住んでいるが港・千代田の住民票を移したくない。
(2)住民票もあってそこに住んでいるが国勢調査から漏れている。
   @オートロックのマンションが多い。
   A単身世帯が多い(留守の時間が長い)。
   B非協力的な人が多い。

●大阪24区

  幽霊率(%) 幽霊数(人)
 1 此花区 102.7 平野区   4,289
 2 大正区 102.5 西成区   2,637
 3 中央区 102.5 東住吉区   2,182
22 天王寺区 96.7 東淀川区 −3,768
23 北区 94.8 浪速区 −5,277
24 浪速区 92.0 北区 −6,171

東京とは逆に、此花区、大正区といった周辺区に幽霊人口が多い(但し3位の中央区は都心)。一方、浪速区、北区、天王寺区といった都心には幽霊人口が少ない。

人間の移動に住民票の移動が追いつかない(住民票の遅行性)からであろうか。

しかし、此花区の人口増減はほとんどなく、大正区は大幅な減少傾向、逆に中央区は大幅な増加傾向、と上位3区の傾向は完全にばらばらであり、説明がつかない。

従来、国勢調査による人口は、住民基本台帳による人口より、実態に近いとされてきた。住民票を移さずに居住地を変える人が多いからである。しかし、上記(2)であげた理由が本当であれば、どっちもどっちということになる。

プライバシーの保護と統計の正確性、どちも重要であるだけに国勢調査にとって悩ましい問題である。


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