BRIEFING.361(2015.03.11)

価格・賃料の同時評価(2)

「循環」を排すため、価格評価に積算賃料は出入り禁止、賃料評価に収益価格は出入り禁止である。積算賃料は価格に依存し、収益価格は賃料に依存しているのに、今から求めようとするものに依存していてはおかしいからである。

だが、価格・賃料同時評価の際には、せっかく「正常価格」「正常賃料」が求められているのにそれを相互に利用し合えないというのは、何かもったいないようにも思われる。

確かに「正常価格」には収益価格が関与し、「正常賃料」には積算賃料が関与している。「循環」が生じていることは間違いない。しかし「正常」価格・賃料を利用しないということは、「正常」でない価格・賃料を利用しているということに他ならない。

この「循環」が生ずる場合と、これを避けた場合を図示すると次のようになる。

●相互に正常価格・賃料を利用し「循環」が生ずる場合
正常
価格
← 積算価格
← 収益価格
 ↓     ↑
積算賃料 → 正常
賃料
比準賃料 →
 
●「循環」を避けて正常価格を求める場合
正常
価格
← 積算価格
← 収益価格
      ↑
積算賃料   ↑
比準賃料 →
 
●「循環」を避けて正常賃料を求める場合
  ←
 ↓
← 積算価格
  収益価格
 ↓    
積算賃料 → 正常
賃料
比準賃料 →
 

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