BRIEFING.392(2016.04.21)

固定資産税を代替する「市町村交付金」

国や都道府県が所有している固定資産は、地方税法上固定資産税が非課税とされている。したがって大阪市にある大阪府所有の施設に市が固定資産税を課すことは許されない。

しかし、同様の場合でも、国や府県がそれを私人に賃貸している場合には、私人が自ら所有する土地を使用しているのと同じであることから、国や府県が使用者から固定資産税相当分を徴収し、これを固定資産税の代替として固定資産の存する市町村に「市町村交付金」として交付することとされている。

このことは、国有資産等所在市町村交付金法により制度化されている。

近年、遊休公有地の利活用が進み、特に土地を事業用定期借地の制度によって賃貸するケースが目立っている。その結果、前述の様な関係が増えているものと推測する。

店舗等の敷地として賃貸されているのに、たまたま国有地だからといって、所在市町村に固定資産税が入らないというのでは理不尽だ。

この交付金額は「交付金算定標準額」に1.4%を乗じて得た額である。

では都市計画税についても同様の制度があるかというとさにあらず、手当てされていない。何とも中途半端な制度である。

平成27年8月、全国市長会は「平成28年度都市税制改正に関する意見」を公表している。その中に「都市計画区域に所在する、国有資産等所在市町村交付金の対象資産については、都市計画税相当分も交付金に反映すること」という要望がある。もっともな要望で正論だ。

国等としては、そこまで細かいこと言わないでよ、といったところか。

さて、そうすると国や府県が賃貸する土地の賃料には、都市計画税は考慮されておらず、割安賃料と言えそうである。しかし、一般競争入札で賃料を決定した場合はどうだろうか。

入札参加者は、他の民間から供給される貸地の賃料(当然都市計画税相当分が勘案されていると考えられる)と比較検討しながら、応札賃料を決定するだろう。安く落としたいが誰でもそう考えるだろうから、やはり市場の賃料水準に近い賃料でないと落札できない。ライバルが多数おれば、市場の賃料水準でも落とせるかどうか・・・。

つまり競争があれば賃料は、市場の賃料水準で決定され、賃貸人たる国や府県は都市計画税相当分、もらいすぎということになる。

一般競争入札で賃料を決した場合、都市計画税相当分は、意識して賃借人から徴収しなくとも、自然にそれが賃料に含まれていると考えるべきである。その分は「市町村交付金」として固定資産税相当分と併せて市町村に交付されるべきである。

いずれにせよ、遊休公有地は早く民間に賃貸し、地域の活性化を図ることが重要である。


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