BRIEFING.401(2016.07.08)

48条許可のコンビニで地域活性化を

平成28年6月2日閣議決定された「規制改革実施計画」には、5つの分野に分けて規制改革を進めることが謳われている。その中の5番目「地域活性化分野」は、@民泊サービスにおける規制改革、A建築物・土地利用関連規制の見直し、Bその他地域活性化に資する規制の見直し、の3つに分けられている。その目玉は@の民泊であるが、Aにも見落とせない項目がある。

その1つは、第1種低層住居専用地域において禁止されているコンビニエンス・ストアの建築を可能にし、併せて第2種低層住居専用地域で定められているその床面積の上限(150u)を緩和しようというものである。

(一社)日本フランチャイズチェーン協会が、郡部・郊外における「買い物難民」の増加に鑑み「コンビニエンス・ストアは『社会・生活インフラ』として新たな価値を提供していくことができ、地域のセーフティー・ステーションとして、社会貢献が可能である」と必要性を主張してきた事項である。

これに対し国土交通省は、@用途地域の変更、A特別用途地区や地区計画の活用、B建基法48条の許可、によってその実現が可能であることから「現行制度下で対応可能」とつれない回答(平成27年12月)であったが、今回の閣議決定は、この内のBの積極活用を特定行政庁に促すもので、一歩踏み込んだ内容と評価できる。

また、同じ12月、(一社)日本経済団体連合会も、工業専用地域の工場跡地が長期間放置されている例が多いことを受け、工業専用地域において物販店・飲食店の建築を可能とすること、また工業専用地域として機能している工業専用地域においては、その従業員等の利便に供するため、コンビニの建築を可能とすることを提案している。

これについても、閣議決定は同条の許可を推奨している。工場従業員も一種の「買い物難民」だ。

さて、同条1〜12項は12種の用途地域別に建築してはならないものを定めた上で、それぞれについて次の様な但書を付し、例外を容認している。

「ただし、特定行政庁が・・・と認め、又は公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りではない。」

しかしその一方で、特定行政庁が恣意的にこの許可を乱発せぬよう、次の歯止めを置いている。

「特定行政庁は、前各項のただし書の規定による許可をする場合においては、あらかじめ、その許可に利害関係を有する者の出頭を求めて公開による意見の聴取を行い、かつ、建築審査会の同意を得なければならない。」

この運用の緩和が地域活性化に資するなら大いに結構だ。しかしその透明性はしっかりと確保する必要がある。そのためには、特定行政庁が許可した事例・しなかった事例について、それに至った過程を積極的に公開すべきである。


BRIEFING目次へ戻る