BRIEFING.422(2017.02.16)
業界の新「目安」、80%とは?
不動産業界の3大経験値、目安値、についてはBRIEFING.332で紹介したところである。簡単におさらいすると、次の通りである。
@70%(新築分譲マンションの契約率)
販売状況の好不調の目安。これ以上だと事業主は一安心。
A5%(事務所ビルの空室率)
これ以下だとほぼ満室。賃料水準は上昇へと向かう。
B3%(不動産投資信託の配当利回りと長期金利の差)
これを上回れば買い(安い)。下回れば売り(高い)。
誰が言い出したかは判然としないが、いずれもなるほどと思わせる数値である。すでに業界の常識と言ってもよいだろう。
さて、昨年あたりから新聞等で「80%が目安」という言い回しを目にする機会が増加している。ホテルの客室稼働率である。
平均で80%を越えれば、曜日によっては満室の日が多く、概ね満室といってよい水準であると言う。そして、これを上回れば客室単価も上昇するらしい。
80%は、宿泊客側から言うと、予約が取りにくいと感じる水準だと言う。確かにここ2〜3年は東京・大阪を中心に正に予約が取りにくい状態で、その間の稼働率は概ね80〜90%であった。
日本経済新聞社がまとめた東京都内の主要18ホテルの客室稼働率は次の通り。
年月 | 稼働率 | コメント(日経新聞より) |
H28.08 | 79.2 | 宿泊料上昇響く |
H28.09 | 84.1 | 割安プラン奏功 |
H28.10 | 88.0 | 依然として高水準 |
ホテルの客室は、事務所ビルと異なり料金設定が可変的であり、また季節の違いや国際会議等の有無にも左右され、稼働率も流動的である。したがって、事務所ビルでは長期的な価格戦略が求められるのに対し、ホテルでは短期的な価格戦略が求められる。しかし、供給量の調整が困難な点はどちらも同じく難しい。長期的展望が欠かせない。
冒頭の3大「目安」に、この80%を加え、4大「目安」と言うことができる。