BRIEFING.54(2003.4.10)

継続賃料評価と土壌汚染(2)

前回、以下の試算より、A説より@説の方が賃借人保護に資するという結果が導かれた。

@判明時点説

・利回り法  400×4.0%+9=25(−50%)
・スライド法 40×98/100+9≒48(−4%)

A汚染時点説
・利回り法  400×6.7%+9=36(−28%)
・スライド法 40×98/100+9≒48(−4%)

しかし、A説でも、単純に基礎価格のみを形式的に修正し、利回りをこれに連動させなければ、利回り法の試算は次の通り修正され、@説と全く同じ結果になる。

・利回り法  400×4.0%+9=25(−50%)

そして、利回りを連動させないとすると、純賃料を次の通り修正する必要が生じる。

600×4.0%=24

とすれば、スライド法の試算も次の通り修正される。

・スライド法 24×98/100+9≒33(−35%)

以上をまとめると次のようになる。

   利回り法 スライド法  傾 向
@判明時点説   −50%   −4%  中 間
A汚染時点説
(ア)利回り連動型
(イ)利回り非連動型
(ウ)純賃料連動型

  −28%
  −50%
  −50%
 
  −4%
  −4%
 −35%

賃貸人有利
 中 間 
賃借人有利

いずれを採用するかは、賃貸人の汚染についての責任の有無、賃借人のこれまでの使用収益に際しての支障の有無、その他を勘案の上、決定すべきであろうが、新たな論点として今後の議論を待ちたい。


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