BRIEFING.584(2022.09.26)

ドルから見た地価調査価格

9月20日国土交通省から公表された令和4年都道府県地価調査の概要についてはすでにご承知のことであろう。同省地価調査課は、経済活動の正常化が進む中で、新型コロナウイルス感染症の影響等により弱含んでいた住宅・店舗等の需要は回復基調にあり、地価動向は、全国平均で住宅地・商業地ともに上昇に転じた、と分析している。

全国の全用途平均は3年ぶり、商業地も3年ぶりの反転である。そして住宅地の上昇は何と31年ぶりであった。

一方、為替市場に目を転ずると、円は24年ぶりの円安(対米ドル)水準である。

では、ドルから見た地価調査価格の推移はどうなっているだろうか。ここでは東京・大阪の次の2つのポイントの価格について、当時の為替でドル換算して見てみる。前者は全国の最高価格地、後者は大阪府の最高価格地である。両ポイントとも対前年で若干の下落(-0.5%、-2.2%)ではあったが、前年より下落幅が大きく縮小している。

●中央5-13 東京都中央区銀座2丁目2番19外(明治屋銀座ビル敷地)
●北  5-2 大阪府北区大深町207番外(グランフロント南館敷地)

なお為替は各年の年間平均レート(出典はIMF)とし、2022年は直近の概ねのレートを採用した。

地価調査価格価格(円/u) 為替 地価調査価格価格(ドル/u)
西 暦 年 号  明治屋銀座ビル グランF大阪南館 (円/ドル)  明治屋銀座ビル グランF大阪南館
2014 H26 22,600,000 9,500,000 105.94 213,328 89,673
2015 H27 26,400,000 11,000,000 121.04 218,110 90,879
2016 H28
33,000,000 13,200,000 108.79 303,337 121,335
2017 H29 38,900,000 14,600,000 112.17 346,795 130,160
2018 H30 41,900,000 16,200,000 110.42 379,460 146,713
2019 R01 43,200,000 21,700,000 109.01 396,294 199,064
2020 R02 41,000,000 23,600,000 106.77 384,003 221,036
2021 R03 39,500,000 22,500,000 109.75 359,909 205,011
2022 R04 39,300,000 22,000,000 144.00 272,917 152,778

両ポイントの価格(円/u)からは、個人消費やインバウンドの回復への期待がうかがわれる。しかしドル建てで見てみると、前者は-0.5%が-24.2%に、後者は-2.2%が-25.5%へと、大きく下落幅が拡大していることが分かる。海外の投資家から見ればお買い得かとも思える。但し賃料も同様に安いことも忘れてはならない。


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