BRIEFING.593(2023.01.16)

初の「注視区域」と「特別注視区域」はどの範囲?

政府は昨年末の27日、重要土地利用規制法(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律)に基づき、「注視区域」を指定し、同時にそのうちの一部を「特別注視区域」に指定した。その内容は官報により内閣府が告示している。これらの区域の指定は同法施行後初めて。

今回指定された注視区域は58ヶ所。告示の施行はこの2月1日からである。

今回注視区域(特別注視区域を除く)が指定されたのは、北海道・東京都・島根県・長崎県の1都1道2県、特別注視区域が指定されたのは、これらに青森県を加えた1都1道3県である。

東京都の特別注視区域は、八丈町と「所属市町村未確定」地域において指定されている。八丈町では、八丈島の西方に浮かぶ「小島」という島が、「所属市町村未確定」地域では、アホウドリの生息する孤島「鳥島」が指定されている。

ちなみに東京都の「所属市町村未確定」地域は、「鳥島」の他、「ベヨネーズ列岩」「須美寿島」「孀婦岩」がある(令和4年全国都道府県市区町村別面積調による)。

島根県の特別注視区域は、出雲市と隠岐郡隠岐の島町において指定されている。出雲市では、「ましま」「マ島」「やり島」「オノカメ」「艫島」の5ヶ所が、隠岐郡隠岐の島町では、「黒島」「沖ノ島」「カビ島」「黒島」の4ヶ所が指定されている。

ちなみに出雲市の「ましま」と「マ島」は別の島であり、隠岐郡隠岐の島町の2つの「黒島」は全く別の島である。同町にはさらに3つの「黒島」(計5つ)がありややこしい。

出雲市には、上記5ヶ所の特別注視区域のほか、特別注視区域ではない注視区域が1ヶ所ある。陸上自衛隊出雲駐屯地の周辺である。同駐屯地の敷地から概ね1,000mの範囲であり、全体の形としてはガタガタした円形と言ってよいだろう。

注視区域の範囲は、概ね既存の道路を使って規定されているが、一部は山林等を直線で区切っていると思われる部分もある。なお、その中心にある同駐屯地(重要施設)自体は区域に含まれない。したがって、区域の形状は、真ん中に穴がある巨大な円形のイメージだ。

また、この注視区域に「含まれることが確認されている町字」として、荒茅町、下横町、大社町中荒木、高松町、浜町、東園町、松寄下町が示されている。それはつまり、確認はできていないものの、これ以外の町字が含まれる可能性があることを示唆している。他の区域においてもこのような表記がなされており、区域の範囲はあくまでも図上で確定されているに過ぎず、その町字すら確認できていない部分が多いのであるから、当然、地番は特定されていないものと思われる。

告示の最後には「区域の行政区画に変更があっても、注視区域及び特別注視区域は、なお従前の例による。」とあり、あくまでも図上でこれらの区域を特定していることが分かる。


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