BRIEFING.024(2002.02.28)

不動産投信、上場3番目は商業施設中心−その鑑定評価額の決定方法

日本で3番目の不動産投資信託、日本リテールファンドが東京証券取引所に上場される。昨年9月に上場されたジャパンリアルエステイトと日本ビルファンドが、主にオフィスビル等を投資対象とするのに対し、日本リテールファンドは、商業施設を中心とするという点で注目を集めている。

さて、当コラム、BRIEFING.6 において先発2ファンドの鑑定評価額の決定方法等について述べたが、今回上場されるファンドについては、目論見書に、各物件(4物件)毎に、次のように記されている。

@仙台中山ショッピングセンター及び、Aエスパ川崎
「原価法による積算価格と収益還元法(直接還元法)による収益価格とのバランスを考慮して両価格を調整し、かつDCF法による収益価格を参考にします。」

B(仮称)JRF大阪心斎橋ビル及び、Cジャスコ茅ヶ崎ショッピングセンター
「原価法による積算価格と収益価格(DCF法)による収益価格とのバランスを考慮して両価格を調整します。」

そして、いずれも投資適格不動産であり「収益価格が価格判断の指標として非常に有効である」ことから、収益価格を持って鑑定評価額としている。

先発2ファンドについては BRIEFING.6 を参照いただきたい。

先発のジャパンリアルエステイトが、収益還元法に直接還元法を採用しているのに対し、当ファンドがDCF法(@Aについては「参考」扱いであるが)を採用し、投資採算性を重視している姿勢が伺える。なお、もう1つの先発ファンド、日本ビルファンドについてはいずれの収益還元法を採用したか不明である。

さらに、先発2ファンドでは見られなかったが、直接還元法における還元利回り、DCF法における割引率・最終還元利回りが開示されている点も評価すべきである。これらは収益価格を大きく左右するものであり、評価者がこれらをいかに把握しているかは、投資家にとって最も興味のある情報のひとつであろう。


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