BRIEFING.372(2015.09.11)
不動産の試算価格と鑑定評価額(2)
前回、3種の不動産(@〜B)について積算価格を査定した。今回は収益価格と比準価格、を求める。@は超都心の超高層マンションの最上階1戸、Aは都心の8階建賃貸1Rマンション1棟、Bは郊外の2階建賃貸アパート1棟である。それぞれの概要は前回のBRIEFINGをご参照いただきたい。
収益価格は次の通り査定する。還元利回りは取引利回りベースとした。
@80万円/月(8,000円/月u)×12月÷6.0%=1.6億円
A5万円/月戸(3,125円/月u)×12月×40戸÷6.0%=4.0億円
B8.33万円/月戸(1,666円/月u)×12月×36戸÷9.0%≒4.0億円
@の賃料は高額だが、積算価格の水準には届かなかった。Aはそもそも賃貸収益目的の不動産なので積算価格同等の水準だ。Bは人口減少下、還元利回りを保守的に査定せざるを得ず、積算価格を下回る結果となった。
次に比準価格を査定する。@については専有床面積当たりの相場が形成されているため、求めることが可能である。しかしABについては相場と言えるようなものがなく、査定は断念する。
@100u×400万円/u=4.0億円
A査定を断念。
B査定を断念。
超都心の超高層の最上階は超高いことが、事例から分かっている。最上階から10階下ぐらいから上にゆくに従い加速度的に価格が上昇し、最上階でまた一段と上昇する。
さて、求められた試算価格は下表の通りだ。
積算価格 | 収益価格 | 比準価格 | |
@ | 2.0億円 | 1.6億円 | 4.0億円 |
A | 4.0億円 | 4.0億円 | − |
B | 5.0億円 | 4.0億円 | − |
@の試算価格はかなりばらついた。鑑定評価額の決定が難しい。Aは4億円で決めてよいだろうか。Bはどうするか。中間値採用か・・・。
次回検討の上、鑑定評価額を決定する。