BRIEFING.177(2008.10.16)

効用積数とは?(1)

「区分所有建物及びその敷地」(BRIEFING.158参照)の積算価格を求める場合、当該部分を含む1棟の建物及びその敷地の積算価格に、当該部分の効用積数の割合を乗じて求める。

たとえば分譲マンションの1戸、賃貸事務所ビルの一室の積算価格を求める場合に採用される方法である。当該部分のみの再調達原価は想定不可能なので、このような面倒な方法となる。

効用積数割合とは、1棟の建物全体の効用積数のうち当該部分の効用積数が占める割合をいい、効用積数とは、当該部分の効用比に、当該部分の面積を乗じたものである。

そして効用比とは、単位面積当たりの効用を、比にしたもので、1棟の建物のどこか一部を100とし、他の部分を点数付けしたものと言えるだろう。基本的には価格比と考えてよい(BRIEFING.118参照)。

4階建のいわゆる「下駄履きマンション]を例にすると、これらの関係を次の通り示すことができる。

  ●面積(計570)
   
 40  50  45
 50  50  45
 50  50  45
 50  80  15
 
  ●効用比
   
105 103 106
104 102 105
102 100 103
130 125  0
 
  ●効用積数(面積×効用比、計60380) 
   
4200 5150 4770
5200 5100 4725
5100 5000 4635
6500 10000   0

効用積数割合は、たとえば次の通り計算される。
 ●4階の真中の住戸・・5150/60380≒8.53%
 ●1階の左側の店舗・・6500/60380≒10.77%

床面積割合は次の通りで、当然ながら効用積数割合とは相違する。
 ●4階の真中の住戸・・50/570≒8.77%
 ●1階の左側の店舗・・50/570≒8.77%

1階の右端は玄関ホールで、単独では売買・賃貸借の対象になり得ず、効用は0と査定される。共用の廊下、階段、EV等も同様、専有部分や賃貸借の対象となる部分の効用増に寄与するが、単独では効用を認識し得ない部分である。


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