BRIEFING.193(2009.03.16)

旧「新価格」と新「新価格」

3月下旬竣工・入居の分譲マンションは多い。新学期を新たな住まいで迎えたい方が多いからである。

ところで、今年は特に3月下旬竣工のマンションが目に付く。というのも、そういう物件の新聞広告やチラシが多いからである。それは3月下旬になってもまだ3月下旬竣工物件がたくさん売れ残っていることを意味する。

「現地モデルルーム・オープン」「先着順申し込み受付中」「即入居可」「残りわずか5邸」「家具付き特別分譲」「○○キャンペーン実施中」「ご来場者に○○プレゼント」・・・。

このような文言が紙面に踊る。しかしこの業界の方々には耳をふさぎたくなるような言葉である。また一種の懐かしさをも感じさせてくれるのではないだろうか。

このような中、「新価格」は昨年から今年にかけての新たなキーワードである。

もちろんこれは一昨年の旧「新価格」(高・素地価格、高・建築費を転嫁した価格)ではない。

費用にばかり着目していたのを、市場に着目するスタンスに変えた価格だ。その結果は大幅な値下げである(BRIEFING.174参照)。

当初の価格に大きな×を付けた広告はスーパーマーケットだけではなくなってきている。

1割引き、1割5分引き、そして内々ではもっとと報道されている。

かつて、売れ残り物件を低価格で販売し、既購入者が訴訟(BRIEFING.002030137参照)を起こしていた頃とは、隔世の感がある。

分譲マンションの広告には、不動産公正競争規約に定められた記載事項が、大変に細かい文字で記されている。それに目を凝らしてほしい。

平成21年3月下旬竣工予定、総戸数465戸、販売戸数7戸。もう少しだ、がんばれ。思わず応援したくなる。

平成20年8月竣工済、総戸数157戸、販売戸数55戸。うーん、何と申し上げたらよいか・・・。

一旦公表した価格を変えるのは簡単ではない。しかしやはり価格は市場に問わねばなるまい。


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